これを聴くと理想的なステレオが何かと言う疑問が湧いてきます。ソニーMS3400

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70年に一連のマトリックス方式でのステレオラジオがソニーから発売されており、此方はその最高グレード品でした。
定価は¥19800。結構な値段でしたが、内部を見るとモノラルラジオ2台分かそれ以上の部品が投入されており、キャビネットも左右のスピーカー用に独立したチャンバーを設けてある等、相当にコストを掛けた物で、高価であるだけのことはあるなあ、と言う印象です。
マトリックス方式といっても今の若い方はご存知無いでしょうが、センターに1本、更に左右に1本づつスピーカーを配し、センターからはステレオのL+R,左右からは両チャンネルの差信号を再生すると言う物で、左右のスペースが取れない小型再生装置には適した方式かと思います。
それと理由は不明ですが、対象の定位と高低が良く出ると言う特徴があり、実際にこの方式を使ったソニーの音の宝石箱こと、セレブリティシリーズで空を飛ぶヘリの音を聞いた時にはその迫真の臨場感にたまげた記憶があります。
何故かこのMS方式はソニーの一連のシリーズ後は上記のセレブリティシリーズ以外殆ど顧みられなかった様です。
尤もかの故長岡鉄郎先生はこの方式を高く評価して幾つかの自作スピーカーを発表しています。
今回のこの個体は相当に初期状態が良い物でした。
クリーニング、整備後に出てきた音は何より当時のステレオラジオとしては突出してSNが良い事に驚きます。
ソニー、ナショナルのアダプタータイプのステレオラジオはいずれもモノならば良いのですが、ステレオになるとSNが酷く悪化してしまいます。
このモデルにはそれが見られないのは意外ですが、差信号を取り出す際にノイズがキャンセルされるのかも知れません。
比較的小型ですが、モノからステレオに切り替えると音場が一気に広がります。
本当のステレオよりも広い音場感で、
多分発売当時に店頭でこの効果を目の当たりにして居たら魅せられた事でしょう。
内部の写真を2枚掲載しましたが、センターが12cm、両サイドが9.2cmの3本、出力は1.5Wと控えめです。美品と言って良いでしょうが各ツマミ横のレタリングが全て掠れて消えて居ます。
念のため左からボリューム兼スイッチ、トーン、ステレオ感調整(音場の広がりが変わります)です。
この方式は所謂中抜け感が無く優れた発想だと思います。是非お試しあれ。簡易アンテナ用リード線はオマケします。

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カテゴリー:テレビ・オーディオ・カメラ>>>オーディオ機器>>>ラジオ・コンポ
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